画像提供:東海新報社

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お知らせ

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2021/07/05

高田松原へのマツ苗植樹完了にあたって

 2011年3月に発生した東日本大震災は大変ショックな出来事でした。陸前高田市は市街地が壊滅し、名勝・高田松原は1本のマツを残して消滅。当時の高田松原を守る会会長も犠牲となり、保全・伝承活動の継続が見通せない状況でした。

震災前の高田松原(2008年5月)

震災後の高田松原(2011年7月)

 
 このような中、隣町住田町の女性が、震災前に拾っていた松ぼっくりから取り出したたくさんの種を寄贈してくれたことをきっかけに、高田松原を守る会は再度活動に取り組む決断をし、高田松原の再生を目指すことにしたのです。

苗木畑の開墾作業(2011年11月)

“由来マツ”の苗木移植作業(2012年4月)

竹簀製作作業(2016年11月)

 
 高田松原を守る会は高田松原再生事業の一部を担うことが認められたことから、岩手県、陸前高田市と連携し、2011年の秋からマツ苗の育成や風よけ用の“竹簀”の製作など、高田松原再生に向けた活動を続けてきました。
 長い準備期間を経て、いよいよ2017年6月から念願であった高田松原へのマツ苗の植樹が始まりました。植樹エリア8haのうち2haのエリアに、私たちは1万本を目指し、マツクイムシの被害に強い抵抗性クロマツと、震災前の松ぼっくりの種から育てた“由来マツ”の植樹を続けてきました。
 そして、復興工事の遅れや新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、去る5月18日に高田高校の生徒のみなさんと一緒にすべてのマツ苗を植えることができ、岩手県が植樹した3万本と合わせて4万本の植樹が完了しました。

植樹祭の様子(2017年6月)

高田一中の生徒による“由来マツ”の植樹(2017年9月)

植樹後の除草作業の様子(2020年10月)

 
 この10年間を振り返りますと、多くのみなさまからたくさんのご支援をいただきました。苗木等のご支援をいただいた一般財団法人ベターリビング様、植樹に関する技術的なご指導をいただいた一般財団法人日本緑化センター様を始め、全国の企業や学校、団体、個人、会員、そして多くのボランティアのみなさまに改めて感謝申し上げます。また、活動にあたりましては、岩手県、陸前高田市の関係者、工事関係者のみなさまにも大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。

抵抗性クロマツの苗木はすべて(一財)ベターリビング様が主催する「ブルー&グリーンプロジェクト」からご提供いただきました(2018年4月)

今泉地区高台から見下ろした高田松原
(2021年6月)

 
 高田松原への植樹は完了しましたが、これで活動は終わりではありません。震災前の高田松原のような美しい松林になるには50年ほどを要するといわれています。除草作業などを行いながら、これからは失われた海浜植物の再生にも取り組んでまいります。未来の子供達に美しい松原を伝承していくため、引き続き保育活動を行っていく所存ですので、これからもご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、植樹完了にあたってのごあいさつといたします。

 
   特定非営利活動法人 高田松原を守る会
   理事長  鈴木 善久

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